銀山のまち「生野町」を訪問
16年度視察に10人が参加

地域デザイン研究会の16年度現地視察が9月11日と12日の両日、兵庫県の中央に位置し、古くから但馬の玄関口と栄えた「生野町」を対象に行われ、会員10人が参加しました。

写真で見る「生野町」現地視察

【史跡 生野銀山】

【生野銀山坑道】

【風力発電の風車】

【生野町まちなみ】

【生野町まちなみ】

【参加者のみなさん】

生野町といえば、かつては日本有数の大鉱山「生野銀山」で長年栄えたまち。参加者一行はまず史跡として残る旧生野銀山へ直行しました。生野銀山は大同2年(807年)に開坑。天文11年(1542年)に本格的な採掘が始まり、幕府直轄鉱山として栄え、銀や銅などの数多くの鉱物を産出してきたが、昭和48年に閉山。今は観光施設として一般公開されています。

坑道は、ありの巣のように幾重にも張り巡らされています。岩肌には鉱脈が見られ、電気仕掛けの人形が当時の作業風景を再現しています。ボタンを押すと発破音が遠くで鳴り響くという仕掛けには、ついつい押してみたい衝動に駆られます。資料館には当時の鉱山立体模型、絵巻物、鉱山の器機類が展示され、幕府に献上する上納銀の製錬工程が再現されています。

まちの中心部・銀谷地域は兵庫県の景観形成地区(平成10年)に指定されていて、郷宿や掛屋といった町屋、格子、カラミ石の塀、水路、洋館などが残り、鉱山町独特の風情があります。

銀谷地域の一角には、吉川家からの寄贈を受けて旧吉川邸を改修、昨年6月に開館した生野まちづくり工房「井筒屋」があります。木組み、味わい深いたたずまいは、生野鉱山で栄えた頃の郷宿の趣きをそのままに伝えています。改修にあたっては、基本設計を住民参加によって策定したそうです。井筒屋では、景観まちづくりシンポジウムなどの催しが行われています。

■地域づくり「生野塾」

生野町は住民と役場の連携による地域づくりに一生懸命です。注目される取り組みの1つが「地域づくり生野塾」。住民と役場職員が「生野町総合計画」の実現に向けてチーム(グループ)を組んで取り組む協働組織で、住民参加で作成した総合計画を住民参加で実現しようと平成9年に発足しました。

地域住民の「まちづくり委員」、役場職員の「地域担当職員」ともに2年ごとに公募し、集まった住民と役場職員が総合計画の施策を選択、チームを作って学校区単位で活動するもので、16年2月現在で口銀谷地域3、奥銀谷地域3、栃原地域2の計8チームで構成しています。生野塾では自分たちの活動を毎年立案し、事業に必要な予算は取り組む施策内容に該当する担当課に予算要求、担当課は財政協議を行い、最終的には議会の議決を受けます。行政担当課が事業を行うプロセスと同様に、生野塾が事業を行っているともいえます。

■土木技術の偉大さに感心

今回の現地視察の宿泊場所は「やまびこ山荘」でした。車で山岳道路をひた走り、生野町の最北端にその宿はありました。山荘の隣の田は稲穂がたわわに実り、刈り取り作業が行われていました。今年は台風の当たり年。この地域にも台風の爪あとが残され、稲穂が横倒しになっている光景が各所に見られました。

山荘の裏側には、ロックフィルダム「黒川ダム」の巨大な堤体がそそり立っています。土木技術者でもある参加者たちの胸の高まりを、誰も止めようとはしません。予定にはなかったダムの視察に出かけることになりました。車でダムサイトまで上がると、ダム湖が広々と広がります。ダム諸元に見入り、うなずく面々。

忘れかけていた土木技術の偉大さ、大切さを思い起こすにはもってこいのロケーションでした。ダムサイトには風力発電所(最大出力150KW)の風車もあり、新しい時代の伊吹きも感じることができました。

黒川ダム(生野町)は市川の最上流部に位置し、同ダムを上部ダムとし、円山川支流多々良木川上流部の多々良木ダム(下部ダム)との間で、有効落差最大387.5mを利用した揚水式発電が行われています。その揚水式発電所「奥多々良木発電所」が隣町・朝来町にあるというので、翌12日には奥多々良木発電所へと車を走らせることになりました。

■温泉は美人湯のはずが・・・

やまびこ山荘の近く、5分も歩けば温泉もあります。

黒川温泉は、炭酸水素イオンを多く含む、肌にやさしく入り心地のよいというアルカリ単純泉で、別名「美人湯」とか。われ先にと駆け出した一行が暖簾をくぐって見たのは、入浴客の想像を絶する多さ。時間帯が悪かったのでしょう。狭い湯舟に遠慮しながら入り、残念ながら心地よい気分に浸ることはできませんでした。そのぶん、宿に帰ったあとの酒盛りでは愉快な話題が途絶えず、お酒も相当な量にのぼりました。

今回の生野町現地視察は、同町のイベントとも重なり役場との意見交換の場は実現できませんでしたが、まちなみの散策や旧生野銀山の見学に加え、ダム視察も行えたことで、参加者それぞれにさまざまな収穫があったことだと思います。

(一部HP参考、文章・写真:大戸修二)


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